LOGIN燃えるような紅い髪に凛とした目、僕が知っている姿より幼いが、間違いなくライトだ。
「急にどうしたの?」
「いやそれはこっちのセリフだろ⁉」
心なしか少しイラついているように見える。
「…何だっけ?」
転生して僕の記憶とカイルとしての記憶が混同しているせいか、何の話か1ミリも思い出せない。
「今日は前から決めてた森の中に探検に行く日だろ!それなのに全然来ないから心配したんだぞ!」
「あっ!」
しまった、今日はその日だったのか。
原作でもライトの幼少期について、多くは語られていない。
しかし、数少ないエピソードの一つに森の探検というものがある。ライトとカイルが森に探検に行ったとき、突然キースターに襲われて、殺されかけるが、たまたま近くを通りかかった一人の騎士に助けられ、騎士になりたいという夢が強くなった重要な話だ。
(原作崩壊しないように騎士を目指していたのに、ストーリーを忘れるなんて…これじゃあ本末転倒だ。)
「あ~あ、一日中無駄にしちゃったよ。」
「ごめん…じゃあ明日!明日一緒に行こうよ。」
「う~ん…いいよ、今度は絶対に忘れるなよ。」
「分かってるよ。」
「じゃあ、また明日な!」
「うん。」
よし、ぼくも準備をしないと…
翌日、僕とライトは国の中心から少し離れた森にやってきた。
森の中は昼でも薄暗く、キースターが犯罪するにはうってつけの場所だった。(一日ズレたとは言え、キースターが襲ってこないとは限らないよな…)
そうして二人で森の奥へと進んでゆくと、小さな小屋を見つけた。
(確かこの変だったな、油断は禁物だ。)
「おい、何だあれ!」
案の定ライトは小屋に興味を示し、小屋の中に入ろうとした。
「待って!確認もせず中に入るのは…」
その瞬間、上空から何か大きなものが落ちてきた。
(来たか…!)
「うわっ!な、何だ⁉」
「ゔぁぁぁぁぁ…」
それは2m程の巨体を持つキースターだった。
(こいつのキーは何だ?)
考えている内に、気が付くとキースターの拳がライトに当たる寸前だった。
(もう間に合わない…!)
その時だった。
カキン!
例の騎士が現れ、剣で拳を受け止めた。
「大丈夫か!ここは危険だ、早く逃げろ!」
そうして二人で逃げ出し、後から騎士も合流した。
こうして僕たちは助かったのだが、(なんか引っかかるな…)
うまく言えないが違和感を感じる。その正体を考えていると森を抜けており、そのころには夕方になっていた。
「た、助かった…」
「駄目じゃないか!あんな危険な場所に行くなんて!」
「「ごめんなさい…」」
「わかったならよし、もうすぐ日が暮れる。さぁ早く帰りなさい。」
「「は~い」」
「カイル、行こうぜ。」
「ごめん、先行ってて。」
「…?わかった。」
そうして僕は助けてくれた騎士のもとへ向かった。
「まだ残っていたのか?早く帰らないと危ないぞ。」
「一つ聞きたいことがあって、騎士のお兄さん いや、キースター。」
「遅かったなカイル。」「僕がカイルのことを引き留めていたんだ、申し訳ない。」「あぁ、それなら問題ないんだ。そんなことより、今日からお前に訓練を付けてやる。」「訓練って具体的には何をするの?」「それはだな…俺と勝負するんだ!」「…聞き間違いかな?もう一回言ってくれない?」「俺と勝負をするんだ!」聞き間違いじゃなかった。「僕…殺される?」「安心しろ、俺だって死なないように手加減してやる。まぁ、死ぬほど厳しいのに変わりはないがな。」だが、よく考えてみると合理的かもしれない。僕が進む道は常に死と隣り合わせ、そんなに甘くはない。強者と実践式のトレーニングをするのは、相手から学べることがいくらでもある。「分かった、よろしくお願いします。」「あっ、これはキーを扱う技術の向上も兼ねたトレーニングだ。だからキースターになれ。」「なるほど、基礎的な戦闘スキル向上をロズスが、キーが及ぼす肉体への影響含めたその他諸々や知力向上を僕が担当するわけだね。」ラノベでいうところの剣の先生と魔法の先生は違う…的なことか?「そういうことだ、兄貴。そんじゃ、早速始めるぞ。」ガチャリ僕はキースターになった。僕とロズスの間には緊迫した空気が流れている。「始め!」ルードが合図をする。その瞬間、ロズスが10m程あった僕との距離を一気に縮めた。僕は慌てて間を取ろうとするが、ロズスの方が速く、僕は胴体を殴られ、吹き飛ばされた。「グハァ!」「どうした、こんなもんか?」「っ…まだまだぁ!」僕のキーはエクスプロージョン。熱を操り、物を爆発させる能力を持っている。そこで僕は自分の足元を爆発させ、その勢いでロズスに近づく。だが攻撃しようとすると、軽くかわされた。何度も攻撃を試みるが、一向に当たらない。逆にロズスの足元を爆発させて転ばせようとしてみた。地面を崩すことには成功したが、ロズスは転ぶことなくこちらへ向かってくる。その後も戦局は変わらず、一方的に殴られ続けた。(手加減されているのに全然勝てない…これが敵幹部の力か…!)正体を知らなかったとはいえ、よくこんな化け物相手に殺すと言ったものだ。あのときロズスに気に入られなければ、きっと僕はもう一度死んでいた。何も目的を果たせないまま…(せめて一撃だけでも…!)そこでふと思いつく、僕のキーはエクスプ
ルードの部屋で眠りについた翌朝、少し遅い朝を迎えた僕のもとにルードがやってきた。「やぁカイル、よく眠れたかい?」「はい、ところで何の用ですか?」「君にこれを渡そうと思ってね。」ルードは懐から腕時計のようなものを取り出した。「これは…?」「この屋敷にも使われている’ハイド’のキーを応用した装置を更にコンパクトにした、その名も”ハイドタイマー”だ。」予想していた通り、この屋敷には’ハイド’のキーを応用した力が働いているらしいが、それよりもキーの改造もできるルードの技術力に驚いた。「このハイドタイマーにハイドのキーを差し込めば、姿だけでなく、音や気配までも完全に消すことができる。」「屋敷のほうは大丈夫なの?」「’ハイド’のキーは比較的量産しやすいからね。」「…前から気になってたけど、キーってどうやって作るの?そもそもキーって一体何なの?」「…いいだろう。君とはこれから長い付き合いになりそうだからね、少し長いけど、キーの起源を教えてあげよう。」始まりは一つの村の教会のシスターだった。シスターは一人で教会を経営しており、教会には毎日多くの子供が集まった。子供たちは皆シスターを慕っており、シスターも又、子供たちを大切に思っていた。だが、シスターには悩みがあった。どうすれば子供たちがより幸せに生きられるだろう?村は小さく、お世辞にも栄えているとはいえなかった。シスターは毎日神に祈りを捧げた。そんなある日のことだった。神に祈りが届いたのだろうか、シスターはお告げと一本の鍵をもらった。――これを使ってそなたの望みを叶えてみよ―—シスターはお告げに従い、鍵を心臓に差し込んだ。ガチャリこうしてシスターは怪物に変化し、教会の中でたくさんの食べ物を作り、人間に戻って、子供たちに配った。子供たちはたくさんおいしい食べ物を食べられて大満足、シスターも子供たちの笑顔を見ることができ幸せだった。ところが、シスターが食べ物を配り始めて1か月が経ったころ、シスターに異変が起きた。鍵が暴走し、次々に食べ物を作り出し、止まらなくなってしまった。更に不幸なことに、シスターは怪物から戻れなくなってしまった。シスターは焦った。このままでは子供たちを危険にさらしてしまう…シスターは村を出て、山奥にこもった。不幸中の幸いだろうか、食べ物には困らなかった。
カイルがディーザス家で生活し始めた次の日のこと<ライト視点>「カイルが消えた⁉」俺とカイルが森に探検に行った次の日、ちゃんとカイルが家に帰ったか心配だった為カイルの家に向かうと、警備騎士の人たちがカイルの家に入るのが見えた。 俺も慌てて家に入ると、そこには泣き崩れたカイルの母さんの姿があった。「カイルの母さん!何があったんだ⁉」「カイルが…カイルが……!うぅぅぅぅ…」どうやら昨日森から帰っては来たらしいが、今朝カイルの部屋をのぞくと誰もいなかったらしい。 騎士の人たちはキースターの可能性も含めて捜索するらしい。(まさかあの時の…!)だとするとカイルがキースターにさらわれたのって…(俺が森に誘ったせいじゃねぇか…!)俺はショックを受けた。しかしそれ以上に、もう一つの感情が湧いた。(二度とこんな出来事を起こすものか!俺は騎士になって、キースターに苦しむ国民を守る!)昨日までは助けられたことに対する騎士への憧れだけだったが、この経験から、俺の憧れは目標へと変わった。本来であればこの時点では憧れ止まりだったライトの夢。しかし、カイルがディーザス家に入ったことでライトの思いを促進させたことを、カイルはまだ知らない。
僕はロズスに連れられてディーザス家の屋敷にやってきた。「こんな大きな屋敷があったなんて気づかなかった…」「俺も詳しくは知らねぇが、兄貴がキーの能力を応用して周囲の人間の認識を阻害しているらしい。」なるほど、道理でライトが国中探してもディーザス家の拠点が見つからなかった訳だ。だとすると、応用したキーは’ステルス’か’ハイド’といったところだろうか。ディーザス家の家族構成は6人。 一家のトップである父 ソラブ・ディーザス 国内の情報を仕入れる母 アリア・ディーザス ソラブの下で経営の勉強をしている長男 ウラツ・ディーザス 財務を担当する長女 レイナ・ディーザス キーの開発を担当する次男 ルード・ディーザス そして、販売を担当する三男 ロズス・ディーザスだ。(これからその全員に会うのか…)ちなみにクレアは何処?という方の為に補足を入れるが、 クレアは物語中盤で長女のレイナに気に入られてディーザス家のメイドになるキャラだ。だからこの時点ではまだこの屋敷にクレアはいない。「おい、何ボーっとしてんだ?さっさと入れ。」「あぁ、ごめん。」屋敷の門を抜け、少し歩くと、庭で本を読む眼鏡をかけた茶髪の男―—ルード・ディーザスがいた。「やぁロズス、隣の子は一体誰だい?」「よぅ兄貴!ちょうどいい所に、こいつのことを聞いてくれよ。」ロズスは僕の目的と出会ったきっかけ、そして僕の面倒を見ようとしていることをルードに話した。「なるほど、国家転覆に異様な程のキーへの順応力…興味深いね。」「兄貴ならそう言うと思ったぜ。」「で、僕は何をすればいいんだい?」「話が早くて助かる。こいつにキーのこととかを色々教えてほしいんだ。」「確かにそれは僕が適任だね。カイル君だっけ、君が目指す道を僕が手助けしてあげよう。」こうして、あっという間にディーザス家の協力者が二人になった。「そういや親父たちは何処だ?こいつのことを話そうと思ったんだが…」「待った!父さんのことだ、実力のない子供には見向きもしないどころか、殺しかねないぞ。」そうだった、ソラブは実力主義者だ。表世界で自分の欲を満たすために暴れている奴は無視するが、ディーザス家に取り入ろうとする者とは直接戦い、強さを示せば招き入れられ、弱いものは明日を迎えることはなかった。そして今の僕はいくら転生
「…え?」「お前はまだキースターになりたてのひよっこだ。だから先頭の訓練や裏の世界のことについて教えてやるって言ってんだ。」「どうしてそこまでしてくれるの?」「単純にお前のことが気に入ったからだ。お前には最強のキースターになる素質がある。」「…お兄さん、ただの売人って訳じゃないよね。一体何者?」僕がそう聞くと、男は仮面を外した。見覚えのある顔に僕は驚いた。「…ロズス・ディーザス⁉」「やっぱ俺のことも知ってたか!そう、俺はディーザス家三男、キー販売担当のロズスだ。」「…どうしてディーザス家の人がこんな所に⁉」「ここんとこキースターになりに来る奴にパッとしない奴が多くてな、だから俺が直接見定めているのさ。そしたらお前が来たって訳だ。」今思うととんでもないこと口走っていた気がする。 この国の裏のトップの一人を殺す発言しちゃったよね… そんなことを考えていた為、ロズスの話に今一つ付いていけなかった。「まっ、そういう訳だからお前はこれからディーザス家の一員だ。」「ま、待ってよ!まだ返事してないし、急に僕がいなくなったら家族がどう思うか…」「あぁ、それなら心配させたらいい。突然子がいなくなって涙で歪む親の顔、最高だろ?後はお前次第だ。」自慢ではないが、僕は前世で家出をしたことがある。 その時に母が酷く泣き崩れているのを見たことがある為、ロズスの言葉に一瞬胸がチクッとしたが、それでも決断できたのは、実の親ではないからか、まだこの世界を現実ではなく、漫画の世界だと思っているからなのか…「分かった、これからよろしく、ロズス。」「おぅ、よろしくな、カイル。」僕たちが交わした握手は、どこかで見たことある名シーンのような熱いものでは決してない。しかし、この日は僕にとって大きな転換期となった。「ようし、ついてこいカイル。お前をディーザス家の屋敷に連れてってやる。」
ディーザス家とは、キーを製造し売りさばくこの国一の商人一家だ。 目的はキーの力による世界征服で、「不死身の騎士」の敵組織でもある。「なっ!お前正気か⁉」「正気だよ。僕はキースターになる為にこの世界に生まれたんだ。」「…ディーザス家の場所は知らない。だがキーを売っている場所なら知っている。」「それはどこ?」「この場所に行ってみろ。」キースターは騎士の姿に戻り、懐から一枚の紙をくれた。 紙には地図らしきものが描かれている。「ありがとう、もう帰っていいよ。」「とんでもない目にあった。こんなことならお前たちを助けなきゃよかった。」そう言うと騎士はトボトボと去っていった。その日の夜、僕は家を抜け出し、地図に描かれた場所に行った。 そこは街灯が一つもない路地で、少し気味が悪かった。 すると仮面を付けた屈強な男性が近づいてきた。「ここに何の用だ?子供が来る場所じゃねぇぞ。」「あなたは…ディーザス家の関係者?」「…どこでその名を知った?」「やっぱりそうなんだ。僕、キースターになりたいんだけど。」「馬鹿なことを言うな。おまえのような子供がなれるわけないだろ。そもそも金は持ってるのか?」「持ってない。でもあなたを殺して奪い去れば問題ない。法の効かないこの世界はそういうものでしょ?」「面白いことを言うな、出来ると思っているのか?」「もちろん、僕の歩みを止める者は誰であろうと倒してやる。」「……気に入った。今回は金を取らないでやるよ。ただし、下手なことに使ったら許さねぇからな。」「ありがとう。」「そんじゃ、まずはキースターにならねぇとな。」そう言うと男は少し大きめの箱を取り出した。 箱の中にはキーがたくさん並んでいる。「どれでも一つ、適当にとってみろ。」’適当に’と言っているが、そんなことは出来ない。原則として、一人の人間が使用できるキーは一つまでだ。それ以上使うとキーが暴走して最悪死ぬ。(つまりこれが人生の分かれ道、どれを選ぶ…?)’ホーク‘ ’ウェーブ‘ ’ダークネス’他にも使い方次第でライトとも戦えそうなものはある。悩んでいると一つのキーが気になり、手に取った。「ほぅ、エクスプロージョンか、中々いいのをとったじゃねぇか。」エクスプロージョン――爆発のキーを手にした僕は早速キーを心臓に差し込んだ。ちなみに余談だが、差し